「意識を向けると現実が変わる」って本当?職場の苦手な人に振り回されないための心の使い方

「またあの人がいる……」
職場に苦手な人がいると、朝、出勤した瞬間から気持ちが重くなることがあります。
声を聞くだけでイライラする。
近くにいるだけで緊張する。
何気ない一言を何度も思い出してしまう。
家に帰ってからも「あの言い方はなんだったんだろう」「明日もまた何か言われるかもしれない」と、頭の中からその人が離れない。
そんな状態になっていませんか?
「意識を変えれば現実が変わる」と言われても、
「いやいや、嫌な人が毎日いるんだから、意識を変えたところで何も変わらないでしょう」
と思うかもしれません。
たしかに、あなたの意識を変えただけで、相手が突然異動したり退職したりするわけではありません。
でも、あなたが何に注意を向け、どう意味づけるかが変わると、同じ職場でも「見えている世界」は大きく変わります。
そして、その変化は結果的に、人間関係のストレスを大きく減らしてくれます。
この記事では、脳の注意の仕組みと心理学の考え方をもとに、職場の苦手な人に心を支配されないための具体的な方法を紹介します。
なぜ「嫌な人」のことばかり気になってしまうの?
苦手な人がいると、その人のことを考えないようにすればするほど、なぜか気になってしまうことがあります。
これは、あなたの性格が弱いからではありません。
脳には、自分にとって重要だと判断した情報へ注意を向けやすくする仕組みがあるからです。
1.脳は「重要な情報」を優先して拾っている
私たちは、目や耳から入ってくるすべての情報を同じように意識しているわけではありません。
周囲には、人の声、パソコンの音、空調の音、照明、会話、表情など、膨大な情報があります。
そのすべてを意識していたら、脳はすぐに疲れてしまいます。
そこで脳は、
「これは自分にとって重要そうだ」
と判断した情報に、より注意を向けます。
たとえば、一度「この人は苦手だ」と強く意識すると、その人の声や表情、ため息、足音などが妙に目につくようになります。
すると、
「やっぱり今日も機嫌が悪い」
「また私のことを嫌っているのかも」
と感じやすくなります。
つまり、相手の存在そのものが突然大きくなったというより、あなたの注意が相手を見つけやすくなっているのです。
2.一度できた「嫌な人」というイメージが、さらに注意を強化する
心理学には「確証バイアス」と呼ばれる傾向があります。
一度、
「この人は嫌な人だ」
という見方をすると、その考えを裏付ける情報に目が向きやすくなります。
相手が普通に挨拶してくれたことは忘れていても、
「今日はちょっと冷たい言い方だった」
という出来事は強く記憶に残る。
すると、
「やっぱり私のことが嫌いなんだ」
という考えがさらに強くなります。
そしてまた相手の行動を監視する。
この繰り返しによって、苦手な人が頭の中でどんどん大きな存在になっていきます。
では、どうすればいいの?
ポイントは、
「相手を変える」ことではなく、「自分の注意を相手から取り戻す」ことです。
苦手な人を好きになる必要もありません。
無理に仲良くする必要もありません。
「嫌いじゃないと思おう」と自分に言い聞かせる必要すらありません。
ただ、
「この人に私の意識を使いすぎない」
と決めるのです。
ここから、そのための3つの方法を紹介します。
ステップ1.朝、「今日探すもの」を決めておく
職場に行く前に、頭の中でひとつ質問してみてください。
「今日、職場で見つけたいものは何だろう?」
おすすめは、次のようなものです。
- 今日ひとつ終わらせたい仕事
- 親切にしてくれた人
- 気持ちよくできた仕事
- おいしいランチ
- 窓から見える景色
- 仕事がスムーズに進んだ瞬間
- 「これでよかった」と思えた小さな出来事
これは、無理やりポジティブになるための方法ではありません。
自分の注意を「嫌な人」だけに固定しないための練習です。
たとえば朝、
「今日は、ひとつでも気持ちよく仕事を終わらせよう」
と決めておく。
すると、仕事が一つ片づいたときに、
「できた」
と気づきやすくなります。
苦手な人の存在だけが、職場のすべてではなくなっていきます。
ステップ2.苦手な人を「問題」ではなく「職場にいる一人の人」として見る
苦手な人が視界に入るたび、
「また嫌な人がいる」
と思うと、その瞬間に感情が動きます。
そこで、できるだけ事実だけを見るようにします。
「〇〇さんが席に座っている」
「〇〇さんがこちらに話しかけている」
「今、少し強い口調で話している」
ここまでです。
そこに、
「絶対に私を嫌っている」
「また嫌味を言おうとしている」
「私を馬鹿にしている」
といったストーリーを追加しない。
もちろん、本当に嫌がらせやハラスメントがある場合は別です。
その場合は「気にしない」で済ませる必要はありません。
上司や人事、相談窓口などに相談し、自分を守る行動を取ってください。
大切なのは、相手の行動と、自分の頭の中で作った解釈を分けることです。
これだけでも、心の消耗はかなり変わります。
ステップ3.「家に帰ってまで考えない」と決める
職場で嫌なことがあると、帰宅後もその人について考えてしまいます。
お風呂に入っても、
「なんであんな言い方をされたんだろう」
布団に入っても、
「明日はどうしよう」
休日になっても、
「月曜日、また会うのか……」
と考えてしまう。
でも、ここで一度考えてみてください。
その人は、あなたの休日の時間に家賃を払っていますか?
もちろん、払っていません。
それなのに、あなたの大切な休日や睡眠時間を占領している。
これは、とてももったいないことです。
苦手な人のことを考えている自分に気づいたら、
「これは今、考えなくてもいいこと」
と静かに区切ります。
そして、
「私は今、自分の時間に戻る」
と意識を切り替えます。
好きな音楽を聴く。
温かい飲み物を飲む。
散歩する。
お風呂に入る。
本を読む。
映画を見る。
料理をする。
何でも構いません。
重要なのは、嫌な人から自分の注意を取り戻すことです。
「あの人が消える」の本当の意味
ここまで読んで、
「結局、相手が会社からいなくなるわけじゃないんだ」
と思ったかもしれません。
その通りです。
「意識を変えれば現実が変わる」という言葉を、
「念じれば嫌いな人が異動する」
という意味で捉える必要はありません。
本当に変わるのは、まずあなたの中での相手の大きさです。
以前は、
「職場=あの人がいる場所」
だったのが、
「職場=自分の仕事をする場所」
へ変わっていく。
以前は、
「あの人が不機嫌=今日は最悪」
だったのが、
「あの人は不機嫌みたいだけど、私には私の仕事がある」
へ変わっていく。
以前は、
「どう思われているんだろう」
と相手の顔色を追いかけていたのが、
「私は今日、何を大切にして過ごそう?」
と自分へ意識を戻せるようになる。
これが、本当の意味での「現実が変わる」ということなのです。
苦手な人への反応が小さくなると、人生の自由度が上がる
職場の苦手な人を完全に好きになる必要はありません。
理解する必要もありません。
相手の機嫌を取る必要もありません。
ただ、
「あなたの人生の主役は、その人ではない」
ということを思い出してください。
相手が何を言うか。
相手がどんな顔をするか。
相手が自分をどう評価するか。
それらは、あなたが完全にコントロールできるものではありません。
一方で、
「今日はどんな仕事をするか」
「休憩中に何を食べるか」
「帰宅後に何を楽しむか」
「誰と時間を過ごすか」
「自分にどんな言葉をかけるか」
こちらは、あなたが選べる部分です。
だからこそ、意識のスポットライトを少しずつ取り戻していきましょう。
今日から使える「意識の戻し方」
苦手な人を見た瞬間、心の中でこう言ってみてください。
「この人は、この人の人生を生きている」
「私は、私の仕事に戻ろう」
「相手の機嫌は、私の責任ではない」
「私の大切な時間を、この人に全部渡さなくていい」
そして最後に、
「今、私が意識を向けたいものは何?」
と自分に問いかけます。
この一言が、あなたの注意を相手から自分へ戻すスイッチになります。
おわりに
職場に苦手な人がいると、どうしても、
「早くあの人がいなくなればいいのに」
と思ってしまうものです。
それほど嫌な思いをしているのなら、そう思うこと自体を責める必要はありません。
ただ、あなたの心の中まで、その人に住みつかせなくていいのです。
相手を変えられない日でも、
自分の意識をどこへ向けるかは選べます。
嫌な人を監視するために使っていた注意力を、自分の仕事へ。
自分の楽しみへ。
大切な人へ。
心地よい時間へ。
そして、自分自身へ。
少しずつ取り戻していきましょう。
「あの人が何をしているか」より、
「私は今日、どう過ごしたいか」。
この問いを人生の中心に置けるようになったとき、同じ職場にいても、以前とはまったく違う景色が見えてくるかもしれません。
あなたの人生のスポットライトを、嫌な誰かに渡したままにしなくて大丈夫です。
今日から、その光をもう一度、自分自身に向けてあげてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

